霊長類で初 脳に光当て神経回路を操作

 霊長類の脳内に光を当て特定の神経回路を操作する手法の開発に、霊長類研究所の井上謙一助教らの研究グループが成功した。研究成果は、英科学誌ネイチャーコミュニケーションズに発表。マウスにおける同様の研究は2011年にすでに報告されているが、霊長類では初めてとなる。

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【画像】山手線を含む東京近郊の路線図

 霊長類の脳は1千億を超える神経細胞が絡み合い、記憶や感情のコントロールなどといった高次脳機能を生み出している。パーキンソン病をはじめとする精神・神経疾患の病態解明には、複雑に絡んだ神経回路から病態の原因となる回路を明らかにすることが必要だ。
 霊長類において特定の脳神経回路のみを標的にし、その働きを明らかにすることはこれまで困難だった。しかし今回のアカゲザルで実験し開発した技術を用いることにより、霊長類の特定の神経回路のみを高精度で操作・調節することが可能になった。霊長類が有する高次脳機能の解明や、精神・神経疾患の治療への応用が期待される。
 井上助教によると、今回の研究成果はJR山手線(病態の原因となる神経回路)と東京近郊の路線(脳内の複雑に絡み合った神経回路)に置き換えて考えると理解しやすいという。
 例えば、山手線の混雑は東京近郊の路線全体の流れに影響を与える。周辺の路線全てを操作すると山手線の混雑は解消される可能性はあるが、同時に他の路線に悪影響を及ぼす可能性も生む。これまでは東京近郊の路線図全体は操作できたが、特定の路線のみを操作することはできなかった。その上で今回の研究成果は「問題のある個所のみを修正でき、全体でどのような役割を果たしていたのかも分かる」と話した。

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