ヨシストローの市場価値は? 立命大生が証明
地球環境問題の観点から飲食業界を中心にプラスチック製ストローの使用の廃止が進む中、立命館大経済学部寺脇拓ゼミの学生らは、植物のヨシを材料としたストローに対して人々が支払ってもよいと思う金額を導き出した。学生がヨシ製ストローを試作しその需要を調査したのは日本初という。
調査では、あるモノに対し人が最大限支払ってもよいと思う金額を意味する支払意思額を測定。紙ストローの支払意思額が1本当たり9円ほどだったのに対しヨシストローは48円程度と推定された。ヨシ製ストローはこれまで国内で普及したことがない。支払意思額の大きさを証明したことで企業が商品化しやすくなり、プラスチックごみによる海洋汚染などの問題を解決することにつながる。
2019年8月から、寺脇ゼミに所属する3年生19人は琵琶湖の水質浄化や景観形成などの役割を持つヨシに注目。茎が空洞になっていることからストローとして利用できるようにした。地元のヨシ卸売業者からヨシをもらい、学内で洗浄、乾燥、消毒処理を行い450本を182時間かけて製作。衛生・品質検査を経て飲食店などで実際に使用してもらい、アンケートを実施した。
紙ストローやプラスチックストローは1本ずつ使い捨てが一般的だが、今回製作されたヨシストローは紙より丈夫で、最低10回は利用できる。フラッペなどのフローズンドリンクにも使える。
学生らはヨシストローの試作や調査活動に加え、研究費用を得るために19年12月から20年2月にかけてクラウドファンディングを実施。目標金額の30万円を集めることに成功した。副代表の田中志織さんは「多くの方に(活動を)応援してもらえていると実感できてうれしかった」と話した。
寺脇ゼミは立命大びわこ・くさつキャンパスがある京都・滋賀地域を中心に調査、研究を行っている。市場では直接取引されないモノやサービスがどのような価値を持つか金銭的に計測し、それらを組み込んだ社会の在り方を考えるのがゼミのテーマだ。過去の活動に、近江八幡にゆかりのある「べんがら色」を扱った食イベントに対する人々の満足度を探った「近江の彩り べんがら色彩スイーツ&ミールプロジェクト」や食料輸送に伴う環境負荷の程度を表す指標「フードマイレージ」の考え方が地産地消に及ぼす影響を調べた「フードマイレージによる地産地消促進プロジェクト」などがある。【田中夏生】
【おことわり】この記事では、学生の学年を3月までの学年で表記しています。
コメントを残す