【7月号】土砂災害対策の歴史学ぶ 京大地球環境フォーラム

京都大大学院地球環境学堂は5月25日、北部キャンパスで第34回京都大学地球環境フォーラム「住民参加の土砂災害対策 歴史から現代へ」を開いた。地域住民や学生ら約40人が参加した。
大津市歴史博物館、京大、京都府立大の研究者ら3人が滋賀県湖西地域の実例を基に地域住民が取り組んできた災害対策や今後の課題を紹介した。
地球環境学堂の落合知帆(ちほ)助教は大津市荒川地区のシシ垣をテーマに講演した。シシ垣は1700年代後半から1800年代後半に築造された獣害対策用の石塁や木柵などで、全国にある。落合助教は、住民が土石流対策にシシ垣を増強してきた歴史を古地図や古文書を用いて紹介。水害対策にシシ垣を活用した荒川地区の例は全国でも珍しい上、開発などで多くが消失の危機にあることを説明した。落合助教は「過去の災害や伝統から得た知恵、知識を次世代に伝えることが重要。忘れられていた石垣などが減災に役立つかもしれない」とまとめた。
神﨑康平さん(京都府立大・4年)は「(獣害対策など)生態系の仕組みを利用した水害防災を研究したいので興味深い内容だった」と話した。
地球環境フォーラムは学内外の研究者や市民と広く議論する場を設けるために年3回行われていて、次回は10月に開かれる予定。【田中穂乃香】
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