学生らによって安置される薬師如来(中央)と、日光菩薩(右)、月光菩薩(左)
(3月10日上田市で、撮影=川村仁乃)

 京都伝統工芸大学校の仏像彫刻専攻の学生など27人が制作した仏像3体の奉納式が3月10日、龍顔寺(長野県上田市)で行われた。仏像は複数の木材をはぎ合わせて作る寄木造(よせぎづくり)で、2017年8月の長雨で倒木した寺の神木から作られた。薬壺(やっこ)を持つ姿の薬師如来は高さ3㍍弱、両脇に安置された日光菩薩と月光菩薩は光背を含め、高さ2㍍弱。

 倒木したのは樹齢300年だった高さ30㍍以上、幹の直径は約1㍍のケヤキ。倒木があった時期がちょうどお盆だったことから、住職がケヤキを仏の姿に戻したいと同校に依頼したことがきっかけで、昨年4月から制作が始まった。ケヤキは非常に固く、木くずで手をけがするほどだったという。指揮を執った仏師の須藤隆さんは「すぐにのみの刃がかけて、刀の取り方から変えなければいけなかった」と振り返る。

 仏像の台座と光背には東日本大震災の被災地、岩手県陸前高田市のマツの流木を使っている。ボランティア活動で被災地に足を運んだことがある住職は「素晴らしい仏像で感動している。被災地のマツを使っている鎮魂の仏であり、被災地の人と心をともにしていきたい」と思いを語った。仏像を作った増田慶太さん(4年)は「(倒木に命を吹き込むという)特別なことを学生で経験できるとは思っていなかった。貴重な体験ができた」と話した。【川村仁乃】