「盆梅の森」をイメージしたフロア(長浜市で)(撮影=田中穂乃香)

 京都造形芸術大の学生らが空間を演出した第68回長浜盆梅展が、滋賀県長浜市の慶雲館で3月10日までの2カ月間開かれた。産学公連携プロジェクトの一環で、学生が企画に携わるのは1952年の同展開始以来、初の試みだ。【田中穂乃香】

 同大の空間演出デザイン学科と美術工芸学科の学生5人が演出を手掛けたのは新館だ。「盆梅の森」をイメージしたフロアでは、部屋全体を薄暗くして盆梅にスポットライトを当て、盆梅がより映えるよう演出した。さらに、足を止めて一つ一つの盆梅をゆっくり見てもらうために盆梅の配置を工夫した。

 今回の取り組みは2017年9月、長浜観光協会が伝統ある盆梅展に新しい雰囲気を取り入れたいと同大に相談したことがきっかけで始まった。来場者が年々減少する中、若者や外国人観光客に足を運んでもらう狙いがある。

プロデュースに携わった学生ら(撮影=田中穂乃香)

 学生らにとって、実際の現場をデザインするのは貴重な体験。伝統を守りつつ学生らしい新鮮な表現を模索した。立ち止まってゆっくり盆梅を見てもらおうと「鉢を天井からつり下げる」や「作品の展示台に高低差を設ける」など約200の案を出し、話し合いを重ねた。18年9月、観光協会の関係者に三つの案をプレゼンテーションし、さらに改善。絵はがきやキーホルダーといった関連グッズやロゴマークも考案した。

 展示方法の考案に携わった園田菜々子さん(同大・2年)と滝口茉由子さん(同大・3年)は「予算や場所などの制約があり、思い通りにいかないことも多くあったが、その中で何がベストなのかを探すことができた。今回の経験を今後に生かしたい」と話した。