【3・4月号掲載】都市鉱山の活用へ パン酵母で金属吸着

大阪市立大大学院工学研究科の東雅之教授(化学生物)と尾島由紘講師(化学生物)らの研究グループが、安価なパン酵母と食品添加物を組み合わせて、金属を回収する技術を開発した。「都市鉱山」と呼ばれる使用済みの携帯電話や家電製品に含まれる希少な金属、レアアースを回収することや、水中に含まれる有害重金属を除去する有効な方法になるという。論文は英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。
パン酵母を食品添加物のトリメタリン酸ナトリウムで処理し、強い負電荷を持つリン酸基修飾酵母を作製。水中で正電荷を持つ金属イオンを吸着する。リン酸化で吸着率は7〜8倍になり、生物吸着材では世界最高レベルの吸着力だという。3価の金属イオンが2価より強く吸着されるため、保有する電子の数が多いレアアースを選んで回収することができる。
レアアースは中国からの輸入に頼っているが、国内には使用済みのレアアースが多く存在するといわれている。しかし都市鉱山の再利用はコストや環境への負担がかかり、実際には使い捨ての状態。環境に負担をかけずに、低コストで都市鉱山からレアアースを回収する技術の実用化が期待される。【川村仁乃】
コメントを残す