【1月号掲載】スポーツで京大知る 終戦前振り返る展示

終戦前の京都大生が取り組んでいたスポーツに関する企画展「京都帝国大学と学生スポーツ」が、京大百周年時計台記念館1階歴史展示室で開催中だ。戦前の京大が学生スポーツに熱心に取り組んでいた事実と、戦時中に抑圧されていく過程を知ることができる。展示は2月17日まで。
展示されているのは1899年から1945年までの、文書22点と写真28点、その他展示物を合わせ計52点。陸上、ボート、馬術、ラグビー、バスケットボールなどの運動部の資料が閲覧できる。
明治時代の日本で、近代スポーツは学校教育から広まった。1897年の京都帝国大(現京大)創立時、集まった教官や学生は既にスポーツに触れており、京大でもスポーツが盛んに。木下広次初代総長は教育の一環でスポーツを重視し、学生が陸上で競う運動会を主催。運動会の前後に木下総長が行った演説の原稿が展示された。
他には、京大卒の選手が1936年ベルリン五輪の陸上に出場し獲得した金メダルのレプリカも。併せて京大に関係する選手の活躍を伝える新聞の号外、ベルリン五輪を特集した陸上部の部誌も展示されている。

戦時中になると、娯楽としてのスポーツが抑制され、訓練として武道が推奨されるように。43年の、文部省体育局からの関西六大学野球中止を知らせる文書などから、学生スポーツの抑制が見て取れる。
企画展を担当した大学文書館の冨永望特定助教は「スポーツということで、写真をたくさん入れた」と話す。当時の写真技術では競技中の動きを捉えた写真は少ないが、陸上や馬術、剣道など動きのある写真が集まった年もあった。
企画展を構想し始めたのは2018年6月。8月には各部活動に問い合わせ、資料集めを開始。11月に企画展を開いた。
冨永特定助教は、「戦前の学生も今の学生と同じようにスポーツを楽しんでいた。しかしだんだん(スポーツを楽しめることが)当たり前でなくなった意味を考えてほしい」と話した。【下島奈菜恵】
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