奈良先端科学技術大学院大が荒牧英治特任准教授(知能情報学)を中心とし、ツイッターのつぶやきをAI(人工知能)を使った自然言語処理で集め、花粉症の流行を推定するアプリケーション「花粉症ナビ」を開発し、4月にリリースした。これまで把握が難しかった花粉症の流行度合いを、都道府県単位で手軽にチェックできる。
 同大ソーシャル・コンピューティング研究室が開発した技術を使い、ツイッターに投稿されているつぶやきから、「花粉症」をキーワードに発言を抽出。「花粉症が辛い」「くしゃみが止まらない」など自分の症状に関するつぶやきだけでなく、「花粉症の人のくしゃみがうるさい」「花粉症を予防しよう」など患者以外のつぶやきも集める。集めるつぶやきの数は、多いときで1日あたり4000ほど。GPS(衛星利用測位システム)の位置情報とプロフィールに記載されている場所から、発言者の住む地域を特定し、都道府県単位で花粉症の流行を推定する。
 アプリは自分の住む地域を登録すると、安全、注意、危険、非常に危険の4段階で、1週間分の花粉量の情報が表示される。白を背景に、ところどころベージュを使ったデザイン。花粉症の患者全員が病院にかかるわけではないので、病院の患者数からは把握が難しかった花粉症の流行を知ることができる。
 今後はつぶやきを勝手に拾って統計するだけでなく、アプリの利用者も症状を報告し、同じ地域に住む人に情報を提供するアプリの開発を目指すという。【下島奈菜恵】