FOCUS vol.390
 大阪市立大商学部の田村晃二准教授(マーケティング経済論)のゼミ生11人が、かばんメーカーのichimaruni(大阪市北区)と共同で、災害時に持ち出すための防災袋「AIR POST」を製作した。防災意識の低い学生をターゲットに、防災袋の普及を狙う。
 防災袋の製作は、同大の広報室がマーケティングを専門とする田村ゼミに、大学グッズを製作するよう依頼したことがきっかけ。同大の学生を対象にしたアンケートでは、防災袋を持っている学生はわずか13・7パーセントだったことから防災袋の製作を決めた。
 ゼミ生らが開発した防災袋は、丈夫で軽い帆布を使い、収納箱からすぐにリュックに変形させることができる。普段から使えるようなおしゃれなデザインのかばんを目指し、ichimaruniのデザイナーと意見を出し合いながら6個の試作品を作り、完成にこぎ着けた。
 2016年の熊本地震で被災した大学生への聞き取り調査を基に、袋に入れる物を決めたという。2日分の飲食物や持ち出し品だけでなく、同大の都市防災教育研究センターや防災士が監修した災害時の行動マニュアルも入っている。災害時に持ち出すことを想定し、重さは約2キロに抑えた。
 ゼミ生らがはじき出した防災袋の市場平均価格は1万3707円。学生が買うことを想定し、価格を1万円以内に抑えようと、仕入れ先を考え直し、ichimaruniなどの取り引き先と交渉した。
 販売初日の14日には、学生だけでなく周辺地域の住民も防災袋を買いに来たという。製作に関わった田村ゼミの池田聖さん(3年)は「『おしゃれ』という入り口からでもいいので、学生には防災に興味を持ってほしい」と話した。
 防災袋「AIR POST」は大阪市大生協で購入することができる。かばんはマスタード、レッド、ネイビー、オリーブグリーン、ダークグレー、オールドピンクの全6色あり、価格は9980円(税込み)。(聞き手=山本秀明)
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