京都大iPS細胞研究所の山水康平特定拠点助教が捏造(ねつぞう)や改ざんした論文について、掲載した米科学誌ステム・セル・リポ―ツは13日付で撤回したと発表した。1月22日に不正を公表した京大は、同誌に論文の撤回を求めていた。
 同誌によると、共著者全員が撤回に同意している。「著者らは、誤った論文を発表したことを科学界に心から謝罪し、迷惑と混乱を起こしてしまったことを深く後悔している」とした。
 論文は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いて、「血液脳関門」と呼ばれる脳の構造体のモデルを作ったとする内容。京大の調査で、論文中の6個の主要な図と5個の補足図で不正があったことが判明していた。
 同誌は「論文は著者らがiPS細胞を使って血液脳関門を再構成したという結論の主要部分を証明していない」と説明している。【西崎啓太朗】