帝塚山大文学部の宇野隆夫教授(考古学)らの調査チームが、ウズベキスタンにあるシルクロード都市「カフィル・カラ城」で、ゾロアスター教の儀式を描いた浮き彫り板絵を完全な形で発掘した。
 同大とウズベキスタン考古学研究所が9月に実施した共同調査で板絵を発見。正倉院の宝物に似た琵琶も描かれ、シルクロードの交流の解明に役立つ可能性があるという。
 板絵は木製で4段構成(縦1・3㍍、横1・4㍍)。最上段は中央アジアのソグド地域でゾロアスター教の最高神として信仰された女神ナナーの獅子に乗った姿が見られ、左右にささげものやろうそく立てを持つ人々も描かれている。中段には女神の前で演奏する音楽隊が刻まれ、正倉院の宝物に似た琵琶も手にしている。最下段はゾロアスター教に特有の拝火壇がある。
 カフィル・カラ城は中央アジア最大のシルクロード都市「アフラシアブ城」から約30㌔の場所にあり、王の離宮という説が有力。板絵は玉座と推定される場所から見つかった。鉄くぎで打ち付けた穴があり、壁に飾っていたと考えられる。
 年代はソグド王タルフン(在位700〜710年)の時代とみられる。710年にアラブ勢力に攻められ、カフィル・カラ城が焼け落ちた時に板絵が地面に埋まったとチームは推測している。  
【山中秀祐】