vol.381 奈良女子大の記念館一般公開
奈良女子大は10月30日から11月5日まで、国の重要文化財に指定されている記念館を一般公開した。20世紀を代表する数学者で、同大の教授を務めた岡潔の論文やスケッチなどを展示し、計3874人の来場者でにぎわった。
1909年に完成した現在の記念館にはかつての事務室や講堂があり、奈良女子高等師範学校本館として使用された。80年代に新しく事務室や講堂が建てられてからは、記念館は大学院の入学式・卒業式やサークル活動の発表の場となっている。記念館の講堂には、高等師範学校の創立当時に購入されたグランドピアノが保存してあり、明治期製造の国産ピアノとしての希少性から「百年ピアノ」として親しまれている。
期間中は特別展示として大学に所蔵してある岡潔の資料を公開。岡潔は60年に文化勲章を受章した数学者で、本人手書きの論文や俳句などが展示された。来館していた同大の大学院生は、「岡潔が実際に書いたスケッチなど当時の生活感が分かる展示品が印象的だった」と話した。
また、期間中は同大の学生がガイドツアーを実施。午前と午後に1回ずつ各20分程度で、毎回10~30人ほどの参加者に館内を案内した。ガイドツアーを行った学生は、「参加者の中にはご年配の方も多かったので、ゆっくり説明して回るよう心掛けた」と語った。
奈良女子大は、記念館の改修工事を行った2015年を除き、毎年春と秋に1週間ほど記念館を公開している。総務・企画課広報係の口分田和輝さんは「低く取り付けられているドアの取っ手や階段の手すりなどは、当時の学生の体形に合わせて作られている。記念館は本学の長い歴史を肌で感じられる建物なので、来春の公開にも多くの方々に足を運んでもらえれば」と語った。(聞き手=嶋田敬史)
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