■留学生との混住 各大学で進む

 日本学生支援機構(JASSO)によると、2016年度、全国の大学(学部)には7万2229人(前年比4757人増)の留学生がいる。近年、留学生は増加傾向で、各大学は受け入れ態勢の整備に追われている。こうした状況の中、寮に留学生と日本人学生を混住させ、異文化交流の場にする動きが強まっている。
 龍谷大の国際化推進施設「りゅうこく国際ハウス」は、留学生の増加に伴い、13年に開設された。
 留学生の生活をサポートするのは、留学生寮・学生生活アドバイザー(チューター)として寮で生活する2人の日本人学生。体調不良などの緊急時に留学生の手助けをしている。留学生の来日時の空港出迎えや、住民票の申請など、生活で必要な手続きも一緒に行うという。
 チューターの2人は「生活習慣や文化が違う留学生との暮らしは細かいトラブルが多く大変。でも各国の文化を学べたり、日本語の上達を近くで見られたりするのは面白い」と話す。
 滋賀県大津市の立命館大の国際寮「BKCインターナショナルハウス」でも日本人の学生スタッフが住み込みで、寮生の生活面をサポート。スタッフの山本和広さん(立命大・3年)は「どうすればいろいろな国から来た留学生と理解し合えるか、日々考えて生活している」と言う。
 大阪大は、日本人学生と留学生、教職員が共に生活できる新しい宿舎「グローバルビレッジ」を建設する計画を進めている。全体戸数は約700戸で、20年度から入居が可能になる予定だ。 グローバルビレッジでは、双方がより密接に交流できるよう、バーベキューなどのイベントの開催や、交流スペースの設置を検討しているという。

■運営の在り方多様に

 寮の国際化が進む中で、運営方法にも変化が出てきている。阪大はグローバルビレッジに、民間企業に公的な施設の建設や運営を任せるプライベート・ファイナンス・イニシアチブ(PFI)を利用。現状では寮ごとの自治会に任せている運営を企業が担う。国際交流を促すイベントを積極的に開けるようになる。
 留学生を受け入れながら、自治を維持する寮もある。関西学院大の女子清風寮は5人1組(うち、1人は交換留学生)のユニット形式。共有のキッチンと各自の個室があり、ユニットごとに当番制で掃除などを行う。
 寮生は「留学生が出身国の料理を作ってくれるなど、貴重な経験ができる」「言葉で困ったことはなく、スムーズにコミュニケーションできた」と寮生活に満足した様子だった。