「近大マグロ」の皮で作った財布などの製品
(撮影=西崎啓太朗)

 「近大マグロ」の皮が財布や名刺入れに変身?

 馬革製品ブランド「ジ・ウォームスクラフツ—マニュファクチャー」(TWM)で知られるメーカー「コードバン」(兵庫県姫路市)が近畿大と共同で、クロマグロの皮を使った財布などを開発した。同大によると、クロマグロの皮を革製品にするのは世界でも例がないという。

 近大出身の新田芳希・コードバン社長が発案した。同大水産研究所で養殖されたマグロの皮が、調理時に廃棄されていることに注目。同大に企画書を送り実現した。

 革の製造は新田さんが専務を務める皮革メーカー、新喜皮革(同市)が行う。

 前例のない作業には困難が伴った。魚特有の生臭さを消すには、原因になる皮下脂肪を取り除く必要がある。薄く繊細な皮を傷つけないように、細心の注意を払ったという。皮のなめし方も試行錯誤を重ねた。

 開発した革製品は、英語で「魚」を意味する「PISCINE(ピサイン)」ブランドとして、4月に発売した。財布や名刺入れは、光沢を帯びたうろこ模様が特徴。部分的に馬革を使い、壊れにくくした。

 マグロの皮を使った製品は財布(3万240円)、名刺入れ(2万5920円)など5種類。JR大阪駅近くの商業施設「イーマ」内にあるTWMの店で販売されている。店員は「マグロ1匹から作れる小物は多くても3個ほど。希少性が高いので、ぜひ店まで見に来てほしい」と話している。

 (聞き手=西崎啓太朗)

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