形容詞による日本酒と色の評価の類似(一例)

 甘口か辛口か。日本酒を選ぶときの一般的な基準の一つではないだろうか。ここに甘い、辛い以外の新たな指標となる形容詞を探す研究を、兵庫医療大薬学部が西山酒造場と共同で進めている。

 研究を行う前田初男教授らは、日本酒の繊細な味や風味を表すにふさわしく、消費者に分かりやすい形容詞を発見することを目指している。

 前田教授らは、昨年3月から研究を開始。8月には大学職員や学生など37人を対象にした試飲実験を行った。13種類の日本酒を、西山酒造場との意見交換会を経て選んだ21対の形容詞を使い、7段階で評価。用いた形容詞は「軽い・重い」「あっさりしている・こくがある」といった酒の味を表す上で身近なものから、「張りのある・たるんだ」「落ち着いた・元気な」などあまりなじみのないものまで、さまざまだ。

 さらに、先ほどと同じ21対の形容詞を用いて、今度は28種の色に対する印象を、同じく7段階で評価。日本酒を評価した結果と比べて、結果が類似している日本酒と色を結び付け、酒のテーマカラーを探す試みも並行して進めた。結果は、黄・緑色への印象が日本酒とよく似ていたという。

 また、性別や世代によって日本酒に対する形容詞の感じ方に差が見られたものもあり、マーケティングや商品開発への活用も期待される。

 今後は、1回に試飲する銘柄数と用いる形容詞の数を絞り、より多くのデータを集めることによって、新しい形容詞の発見を目指すという。

 目新しく分かりやすい形容詞に釣られて、いつもは買わない日本酒を手に取る日も近いかもしれない。
vol.353