【3・4月号掲載】【野球】関西学生野球開幕前特集 vol.1 関大
昨年の秋季リーグ優勝決定戦で4連覇を狙う立命大を下し、4季ぶりの頂点に輝いた関大。「何が起こるか分からない。そんな厳しい状況でも勝利をつかめた」。副将の阪本大(3年)が振り返るように、優勝までの道のりは波乱に満ちていた。
同志社大、立命大と勝ち点3で並び混戦状態で迎えた第8節。関学大との初戦に敗れ一度は優勝から遠のいたが、その後は3連勝。まさに崖っぷちからの大躍進だった。
2年ぶりの出場を果たした明治神宮大会では、優勝した明治大に初戦で敗れたが手応えも感じた。「選手層の厚いチームを相手にしても1点を返し、後半は自分たちのペースに持ち込めていた。日本一を目指していけるような、先につながる試合だった」と早瀬監督は評価する。
今季も投手陣の戦力は健在だ。「あいつがいなかったら優勝できなかった」と監督に言わしめた山本(2年)が今季もチームを支える。昨秋は球速や変化球の質などで総合的な成長を見せ、最優秀選手賞と最優秀投手賞を獲得した。昨季右肩のけがで出遅れた阪本大は、リーグ戦後半から調子を取り戻した。このオフシーズンは、決め球のスライダーの精度を上げ制球力も増している。キレのある変化球でチームを勝利に導いてきた、エース吉川の引退後も心配はない。
打撃陣は投手を援護できる、安定したプレーを見せられるかが課題だ。このところ、うまく機能していなかったクリーンアップが鍵となる。昨春、打率3割6分5厘と好成績を残した3番古川(2年)は、秋には勢いが出ず消化不良となった。「本当はもっとできるはず」と監督は鼓舞する。昨年チームをけん引した、4番安井の穴を埋める新戦力にも期待がかかる。1年の倉川や原、松島らもオープン戦で結果を残せば起用の可能性が十分あるという。
守備面ではキャッチャーを久米主将(3年)と高橋(2年)が務める。1年春から正捕手として活躍する強肩が持ち味の久米と、テンポの良いリードが強みの高橋。それぞれの特長を生かして試合を進められるかが、勝敗を握る。二塁を守る多田(2年)は「横の動きには自信があるが、縦も強化したい」と話す。昨秋リーグトップの5盗塁を記録した俊足を武器に、守備範囲を広げる。
「応援団や卒業生をはじめ、スタンドの声援の大きさが関大の強み」と選手や監督が口をそろえる。「優勝できたのは自分たちの力だけでなく周りのおかげ。もちろん今年も全国制覇を狙う」と久米は力強く前を見据える。チームとスタンドが一つになった関大が、リーグ連覇と日本一に向け始動する。
【おことわり】
3・4月号では学生の学年を、3月までの学年で表記しています。
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