オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)を使った静岡県焼津市の地図作りに京都大、常葉大と同市が協力して取り組んでいる。常葉大の学生らが実際に焼津市を歩き、スマートフォンアプリを使い市の気候や人々の様子、聞こえてくる音などから自分が感じたことをオノマトペで表現。地図上にイラストつきで書き起こし、焼津市の魅力を発信している。
 2月2日の午前11時から午後3時まで、40人の学生が焼津市を歩いた。専用のアプリにオノマトペ、説明、その時の印象を良い悪いの基準でマイナス2からプラス2までの5段階で記入。「ゴゴゴゴー」「ポカポカうとうとハッ」「ぶははははは」など個性あふれる言葉が集まった。
 アプリを開発したのは京都大学際融合教育研究推進センターの北雄介特定講師。元々町の成立過程、住民が何を感じているかに興味があり、京都の町で人が感じることを研究していた。地図上に手書きで何を感じたか書き込んでいたが、手間が掛かる。スマホ上だと多くの人に使ってもらえ、多くのデータが集められるためアプリの開発に至った。
 以前京都で3回町歩きのイベントを行い、初めは参加者に制限なく好きな言葉をアプリでつぶやいてもらったが、表現が多様でデータが集めづらかった。データの分析がしやすい言葉を考え、町の雰囲気を端的に表せるオノマトペに着目。
 北特定講師は昨年9月に自身の研究内容を学会で発表。研究内容に興味を持った常葉大健康プロデュース学部の山田雅敏助教に声を掛けてもらい、焼津市での地図作りが実現した。若者への市の情報発信を目的とし、焼津市の助成金制度に応募し資金を集めた。
 北特定講師は「オノマトペに着目すると町の見え方が違う」と話す。つぶやく言葉が思い付かないときのためにオノマトペのリストを用意していたが、使う場面が無いくらい学生たちからさまざまなオノマトペが集まった。港町の焼津市らしく、特に海沿いで多くの言葉がつぶやかれたという。
 地図は現在作製途中。ウェブサイト上で公開され、紙の地図も配布していく予定。

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