京都銀行は昨年12月6日、第16回「美術研究支援制度」で購入した京都市立芸術大の学生による作品の受渡式を行った。支援制度は京都市芸大が対象。若手芸術家の美術研究費用を援助するとともに、文化芸術の振興を目指す。
 支援制度は京都銀行が2001年に創立60周年を迎えたことを機に発足した。支援対象には日本最古の公立の芸術大として歴史がある京都市芸大を選んだ。
 受渡式には土井伸宏頭取と京都市芸大理事長・学長の鷲田清一氏、制作者らが出席。式典では土井頭取から制作者へ目録が贈られ、制作者自ら作品を説明した。
 今回購入した作品は日本画1点、油画1点、版画1点、漆工1点、染織1点の計8作品。購入した作品の総計は全体で125作品となった。
 作品は各専攻の教授による推薦で選ばれる。美術研究科修士課程2年の出口義子さんは、春の朝日を浴びた生命の姿を描いた日本画「好日」を制作した。作品の購入が決まった際には「身の引き締まる思いがした。同時に、いつも通り誠実に描き出し届けられたらと思った」と語る。支援制度に関して「多くの人の目に触れる機会が新たなつながりを生み、これからの制作活動の励みになるのでは」と期待する。
 15年の支援制度創設15周年記念には「京銀コレクションの15年」を開催。15年までに購入した全作品を京都銀行金融大学校桂川キャンパスの大ホールに展示した。作者の詳細についての問い合わせが多数あったという。
 京都銀行は地元に寄り添う銀行として、森林保全や祇園祭への参加など、幅広い地域貢献に取り組んできた。支援制度もその一環で、総務部の藤井利昭次長は「文化芸術振興によって地元や地域との関係を深めていくことで会社理念につなげていきたい」と話す。支援制度は今後も続けていく予定だ。
 本年度購入の8作品は今月13日に京都市勧業館「みやこめっせ」(京都市左京区)で、16日から2月24日までは京都銀行本店営業部で展示する。