パソコンのウイルス感染が原因の情報流出や、SNS上での「炎上」が問題になることが多い昨今、大学では教育を通してどのような対策をしているのか。インターネットを利用した学習システム「e-Learning」の受講を学生・教職員全員に義務付けている京都大の教授は「トラブルは個人の対策で未然に防げる」と指摘した。
「インターネットは個人として参加するもの。パスワードを決めたりセキュリティーソフトを入れたりするのも、全ては自己責任」と話すのは同大情報環境機構IT企画室の斉藤康己教授。
同大は学生や教員などの全構成員が情報や情報技術を安全かつ効果的に利用するため、「e-Learning」を用いて、セキュリティーやITインフラなどの基礎知識やマナーを身に付けさせる。
教材として学生および教職員向けの「情報システム利用規則とセキュリティ」があり、同大のセキュリティーポリシーと情報システムを利用するのに必要な知識が含まれている。また、学生を対象に独自開発された教材「りんりん姫」は国立情報学研究所(NII)が提供しているプログラム。「情報システム利用規則とセキュリティ」と比べ、倫理的な内容を重視している。どちらの教材も多言語対応で、留学生も受けることができる。
例年80〜90%の受講率だといい、全構成員の習得を目指している。「(情報流出など)問題になっているものは、元をたどれば個人の責任にあることが多い。当たり前のことをやることが大事だ」と斉藤教授は警鐘を鳴らす。