無料ライブイベント「天才 売れない奴ら」が5日、大阪城野外音楽堂(中央区)で開かれた。企画したのは同志社大の岡井紅都(こと)さん(4年)。「少しでも多くの人に自分の音楽を聞いてほしい無名のバンドと、リスナーを結び付けたい」という思いで企画した。
 「全く売れていなくてでも実力のあるバンドを、もっと多くの人に知ってほしい」と思ったことがきっかけ。2015年の11月後半には会場を押さえ、イベントの実現に向けて動き始めた。実際に自分がライブを見たことのあるバンドに直接声を掛け、30組ほどの中から10組に出場の返事をもらった。
 音楽に携わる人たちからは「やめたほうがいい」と口々に言われた。「無名のバンドばかりで、絶対いい結果にならない」。ところが、よく行くラーメン屋にこの企画を話したところ、人づてに話が広がった。産婦人科医院など意外なところからも援助の手が来た。「人の縁に助けられました」
 前日までの申し込み人数は500人程度だったが、ふたを開けたら約1900人もの人が足を運んだ。好天だったこともあり、大阪城に来ていた家族連れや高齢者が立ち寄ってくれた。「おじいちゃんやおばあちゃんが、前の方に座って手を振っているのを見たときは驚いた。予想以上に幅広い層の人たちが来てくれて、音楽の力のすごさを実感した」と話す。
 ただ、漠然とした悔しさは残る。「21歳の大学生がやったということで、過大に評価されてしまったんじゃないか。自分が大学生ということを利用してしまったし、されてしまった」と振り返る。
 イベントは来年以降も続ける予定だ。岡井さんは来年から社会人。「ある意味来年が本番」と意気込む。