枝豆を味付けに使用したポップコーン。食物としてではなく、エネルギーとして利用されるサツマイモ。実りの秋に、「作物」を起点とした開発や研究を探った。
■特産の枝豆でポップコーン
 大阪経済法科大のBLP特別演習呉ゼミの学生とポップコーンの製造などを行う株式会社「Dreams」が枝豆味のポップコーンを共同開発した。
 4月から開発が始動。同大がある八尾市の特産品枝豆を使って味付けした。大人をターゲットに定め、コンセプトは「ビールにも合うポップコーン」にした。
 ポップコーンの味付けを枝豆に決めてから、八尾市で枝豆を栽培する農家「ゆうき農園」に協力を依頼。まずは枝豆を仕入れ、ゼミ生で枝豆の皮をむき冷凍。業者に粉末加工を依頼した。枝豆の風味を最大源生かせるようになるまで試作を繰り返し、今年10月14日に完成した。
 苦労したのは枝豆の味を引き出すために、バターや塩など、ほかの材料と組み合わせる工程だ。粉が少なく味が薄くなりすぎたり、逆に粉っぽくなりすぎたりしないよう、枝豆の粉末の量を何度も調整した。 
 10月20日からインターネットで600個の販売を開始。11月初旬には完売した。岩崎さんは「自分たちの予想以上に早く完売してうれしい」と語った。
■サツマイモ燃料に使用
 二酸化炭素濃度が上がり温暖化が進んで、人類の生存が危うくなる中、我々はどうすれば生き残れるのか——。
 近畿大の鈴木高広教授(生物理工学部)は、人類滅亡の解決策として「サツマイモをエネルギーとして利用すること」を掲げる。「このままだと人類はあと千年で滅亡する。日本でそれを止めるには、サツマイモを大量に栽培するしかない」と語る。
 「再生可能エネルギーの中で、バイオマスエネルギーのみが二酸化炭素を減らせる」と考えた鈴木教授は、バイオマス燃料に関する研究を2010年に近大で始めた。検証の結果、日本国内で最も優れているバイオマス燃料はサツマイモだった。
 サツマイモは、晴れている日の30%の日照量で十分に育つため、強い日照量の必要なトウモロコシなどと比べて栽培効率が良い。背丈が低いため重ねて栽培できることも決め手だった。「国土の約2割をサツマイモの生育に当てれば、今国内で使われているエネルギー量は十分賄える」と踏んだ。
 栽培効率を追い求め、サツマイモを1株ずつ小さなポットで育て、立体的に並べる「空中栽培法」を確立した。現在全国8カ所で実証実験を行っている。最も能率の高い水のやり方などは、まだ試行錯誤中だ。
 収穫したサツマイモは、メタン発酵させガスを生成することで、エネルギーに変換できる。しかし、従来の装置は非常に高価だ。「いかに装置を安く小型化できるかも、普及の鍵を握る」と鈴木教授は語る。
 安定的に栽培でき、変換装置を安く生産できるようになれば、国内で必要な全てのエネルギーをサツマイモから生成できるという。「将来的には1軒に1台、もしくは地域に1台あればエネルギーの自給自足が可能」と話す。
 「この研究に取り組む学生はあまりいない。学生は、研究開発にハイテクさや格好良さといったイメージを抱いてしまっていることが多い」と残念がる鈴木教授。「ばかばかしいように思えるけど、ばかにできない技術。ぜひ携わってみてほしい」と学生にメッセージを送った。