気迫のこもった雄たけびが球場にこだまする。相手打者を打ち取ると、関西大の山本は両手を叩き、力強く拳を握った。最速148㌔の直球と鋭く落ちるフォークボールを武器に、身長172㌢の小柄な右腕は闘志を前面にむき出す。
 今季のリーグ戦では近畿大、立命館大を相手に完封するなど好投を見せ、リーグトップタイの5勝をマーク。奪三振数もリーグトップの47を記録し、最優秀選手(MVP)と最優秀投手に輝いた。山本は「タイトルは野球人生で初。素直にうれしい」と笑顔を見せた。
 けがに悩まされていた昨季までは、リーグ戦での登板機会はほとんどなかった。早瀬監督は「けがは本人も苦しかったと思う。(今季は)十分な投球を見せてくれた」と評価する。明治神宮野球大会では初戦で敗れたものの、リリーフで2回を無失点に抑えた。
 昨季まで主に先発を任されていた阪本大が、今季はけがで出遅れた。主将の松山は「阪本が出遅れてどうなるかと思ったが、山本が穴を埋め、期待以上の活躍をしてくれた」と絶賛。山本は「(先発を)任されている以上は応えないといけない」と2年生ながら責任感を口にする。
 けがから復活を遂げ、大車輪の活躍を見せた背番号18。早瀬監督は「これからが楽しみ」とその背中に期待を寄せる。全国を経験し、大器の片りんを見せた右腕が来季、関大の先陣を切ってマウンドに立つ。