京都市立芸術大の2016年度芸大祭が11月5日から3日間開かれた。初日は芸大生グループ「GMG」によるミュージカル公演や、ゲストライブアーティストとして人気バンド「くるり」の岸田繁さんの生演奏が披露された。会場には多くの模擬店や展示が出され、食器やアクセサリーなど学生が制作した個性溢れる作品の販売があった。

 今年のテーマは「地獄のファン!ファン!ファーレ!」。芸大祭実行委員長を務めた原田泰輔さん(2年)は「作品の締切に追い詰められる芸大生の生活を『地獄』に、完成後の達成感を『ファン』と表現した」と語る。今回は会場全体の規模を拡大し、来場者数は昨年を超えたという。

 会場の入り口にある門のオブジェが芸大祭のメインの一つ。制作期間は夏休み期間を含む約3カ月間で、芸大祭当日の朝に完成した。当初は門に色を塗る予定だったが予算を超えてしまったため、柱の装飾など細部のクオリティーにこだわった。オブジェの出来栄えについて、イベントデコレーションセクト長の上西(じょうにし)樹さん(2年)は「メンバー全員が建築の知識を持っていないため、自分たちの感覚だけで制作した。思っていたよりも形になり満足」と振り返る。

 漆工専攻の3年生が出店した「漆黒屋」では、トックスープや酒類などの飲食物と、それぞれが作った漆の作品を販売した。作品スペースには、漆の箸や小皿、ブローチやピアスなどが並んだ。

 主に漆のブローチを制作・販売した居上(いのうえ)奈央さん。漆をきれいだと感じたことがきっかけで、高校生のときから漆に触れ始めたという。

 漆は値段が高く乾燥にも時間を使うため、作品作りには時間がかかる。「制作に1〜3カ月かかる作品もある」と居上さんは話す。「時間がかかる分、出来上がる作品への愛着も大きくなる。(作品を購入した人には)ぜひ大切に使ってほしい」と語った。

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