真っ白な体でお化けのような風貌。嵐山商店街(京都市右京区)のゆるキャラ「月橋渡(つきはし・わたる)」が今、ひそかに人気を集めている。京都嵯峨芸術大の学生がキャラクターを製作。嵐山の観光名所である渡月橋をモチーフとし、大胆にデザインした。
 月橋渡が誕生したのは2014年。嵐山商店街から依頼を受けた同大が制作した。学内コンペを経て、商店街の理事会による選考で残った10案から、当時商店街にあった77店舗の投票により決定。理事会は若く新しい感覚を取り入れるため、店主ではなく妻や子ども達に投票してもらうよう勧めた。
 歴史的な背景、神社仏閣など堅苦しいイメージがある嵐山に、若い世代を呼び込むために作られたキャラクターだったが、当初はふさわしくないなどとなかなか受け入れられなかったという。しかし、苦境を逆手にとり、「すいません」を口癖とした謙虚な姿勢を全面に押し出し、若者を中心にアピール。インターネット上で話題となり、知名度は上昇していった。実際に、若者や子ども連れの観光客は増加。キャラクターの関連グッズも40種類に及ぶ。
 今後も週末を中心に商店街に登場し、積極的に観光客に向けアピールしていくという。またイメージソング「わたるくん音頭」や、キャラクターの聖地などの製作を企画しているそうだ。月橋渡が若者だけでなく、幅広い世代に認められるゆるキャラになる日もそう遠くはないかもしれない。

 (写真提供=嵐山商店街)

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