「人が喜ぶような『すげー』って言ってもらえることをやりたい」。京都お化け屋敷大作戦実行委員会創立代表の杉浦悠介さん(立命館大・3年)は話す。杉浦さんは3年連続、三条会商店街(京都市中京区)の空き店舗でお化け屋敷の企画に取り組む。5月下旬から会員制交流サイト(SNS)でメンバーを募集し、プロモーションビデオや内装の制作を行った。協賛金を集めるための営業活動も行い、8月30日から9月3日にかけて開催。「文化祭レベルでなくハイクオリティな」お化け屋敷を目指した。

 杉浦さんは1年の時にファッションショーの企画に携わった。今度は人がやっていない企画を自分自身で作ってみようと、商店街でお化け屋敷を作ることを思いついた。企画案をまとめ京都にある数カ所の商店街を当たったがなかなか受け入れられず、三条会商店街でようやく実現した。

 お化け屋敷は三条会商店街にゆかりのあるものをモチーフとして作った。今年のテーマ「白わら人形の家」は、三条通で日本初の解剖が行われたという言い伝えから着想を得た。解剖医にだまされて娘を亡くした貧しい母親が、医師を模した白いわら人形に呪いをかける――という物語。

 企画を実現する上で譲れないことの一つは、地域との関わりを作ることだ。1日目、想定していた20倍もの来客数に対応が追いつかずアクシデントが発生した。自身の力不足に落ち込んでいたところ、商店街の人から「元気出して」と励ましの言葉を掛けられた。時には作業中に差し入れをもらうこともあった。現在では11店舗とのコラボ商品が販売されるなど、商店街と企画を作り上げた。

 杉浦さんは3年間で、企画を進める中でのトラブルや、常にリスクを背負っていることが当たり前になったという。「とりあえずやるのではなく、なぜやるのかを追求する事によってより厚みのある企画ができた」と振り返った。