原作湊かなえ、監督三島有紀子の映画「少女」が10月8日、全国の劇場で公開される。「少女」というシンプルな題名を持つ本作の主人公は女子高校生。子どもと大人の境目であり、眩しさと危うさを兼ね備えるまさに青春時代といえるだろう。本作はそんな女子高校生らの「闇」の部分を生々しく鮮烈に描き出す。

 お嬢様高校に通う由紀(本田翼)と敦子(山本美月)。無二の親友の2人は互いに過去のトラウマを引きずりながら高校生活を過ごしていた。クラスでいじめを受ける敦子はある日、由紀の前で「死にたい」と口にする。その一言はあまりに重く、切実な心の叫びだった。「死ぬ」とはどういうことなのか、「死」とは何なのか、親友の死体を見たという転校生の告白から2人は「死」について考え始める。身勝手で未熟、不安定で、それでも純粋な女子高校生たち。「死」にとらわれた由紀と敦子の行きつく先には何があるのか……。

 「死」に囚われ、執着する高校生は一見、異常なものとして描かれている。しかし、クラスのいじめ、現実に対する絶望、「ヤバい」ものへの好奇心、作中の高校生は本当に「異常」なのだろうかと考えさせられる。

 最後には意外な感情を抱かせてくれる本作。映像だからこそできる心情表現にも注目してほしい。狂気と冷酷性、そして純粋さを併せ持つ青春真っ盛りの女子高校生の物語、是非劇場で観てほしい。