「夜明けとともに目が冴えるのがいい」。大阪大内外で野宿をする「阪大野宿愛好会」の会長、大塚剛毅さん(文・2年)は語る。今まで食堂・宙前のデッキを始め、グラウンドや総合図書館前、石橋口側の「大阪大学」石碑前などで野宿を行ってきた。固定メンバーは6人だが、開催を知ってふらっと来る人もいる。

 設立したきっかけは、かとうちあきさんの「野宿入門―ちょっと自由になる生き方」という本だ。昨年のまちかね祭の、古本販売ブースで出会った。「愛好会のバイブル。いつか著者と一緒に野宿をしたい」と会長の大塚剛毅さん(文・2年)は話す。

 「野宿に必要なのは寝袋とマットが基本」という。冬はさらに、帽子やネックウォーマー、ダウン、スウェット3枚、靴下3枚などを着込む。それでも一番寒い午前3時から4時の間には、一度は目が覚める。「大阪でこんなに寒いんか、と思う」とメンバーの大塚涼矢さん(文・2年)。

 何も持っていないときには、「コンビニで段ボールをもらってきて、筒状にすればいい」。愛好会も、最初は段ボールから野宿に挑戦したという。

 野宿での最高の瞬間は? ――「朝」と、大塚剛毅さんと大塚涼矢さんは口をそろえて言う。「あ、太陽上がってる、とダイレクトに分かるのが面白い」と大塚涼矢さん。特に、7回野宿を行ったお気に入りの場所、宙前のデッキでは、明るくなると貯水池の向こうに六甲山が見える。「その光景が、野宿をやっていて一番好き」と大塚剛毅さんは語る。

 最近は阪大を飛び出し、京都大や神戸大、三重県・伊勢湾にも野宿をしに行った。今後は他の国公立大にも遠征に行きたいという。「他大の野宿サークルと合同野宿もしたい」とも話す。

 野宿とは、自然と一体になること。「社会人になっても、居酒屋で集まるより野宿して集まりたい」と、野宿の魅力に取りつかれた2人は将来を語った。

 次の定例野宿は、10月19日に行われる。午後10時半に宙前集合。

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