熊本県で4月14日以降、相次いで地震が発生した。最大震度は7、余震の数は6月15日午後5時までで1742回にも達した。地震後、日本各地で多くの学生が熊本への募金活動や現地に入ってのボランティア活動を行っている。
 大阪大災害ボランティアサークルすずらんも、熊本での地震に関わるボランティア活動をしている学生団体の一つだ。すずらんは、4月30日から5月2日に熊本市、6月4日には益城町で活動を行った。熊本市で、地震で散らかった家屋内の掃除の手伝いをしたすずらんの片山潤一(3年)さん。熊本駅前やその近くの商店街などでは、一見すると被災地とは思われないほど活気が戻っていたという。
 被害が大きかった益城町では、いまだに多くの人が避難所での生活を強いられているのが現状だ。今月4日には、益城町にある避難所の一つで、すずらんを含む団体らが折り紙教室やヨガ教室といった活動を通じて被災者支援を行った。活動中は、避難所で辛い思いをしている被災者の心に、どこまで踏み込んでいいのかとても悩んだという。「避難所生活は非常にオープンで、プライバシーがない」と、片山さんは当時の避難所の様子を振り返る。しかし、折り紙教室で心を開き始めて当時の状況を話してくれる被災者もいた。「被災地以外の人に現状を知ってもらうためには、自分が現地へ行ってその様子を見ないと伝えられない」と、片山さんは話した。
 被災地では、車中泊をする被災者の体調悪化といった懸念はいまなお残っている。だが、片山さんの目には、被災地の人が地震の被害にめげている様子は見られなかった。すずらんは以降も定期的に現地入りを計画している。

■「継続的な活動を」
 学生のボランティア活動が増えるなか、大学側もボランティアを行う学生への支援を行っている。龍谷大学ボランティア・NPO活動センターでは、熊本へボランティアに行く学生への説明会や現地へのボランティアバス運行といった試みを続けてきた。 
 安全確保や宿泊の準備といった最低限のことが用意できない状態で学生が現地に行ってしまうと、被災者に余計な負担をかけ、さらに学生の気持ちも生かすことができない。センターの職員は、学生の現地でのボランティアを円滑にするために、大学の支援が不可欠と考える。被災地で迷惑と捉えられる行動を起こさないようにすることが大切だ。現地に入る前には十分な準備をして、現地では災害ボランティアセンターの人たちの指示に従って動くよう学生に促している。
 今なお熊本でのボランティアを希望する学生は多い。「ボランティアを1回して終わりというのではなく、復興を見据えた長期的視野で関心を持ち続けてほしい」と職員は話した。