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 京都大大学院理学研究科の斉藤昭則准教授らは4月27日、iPad専用アプリ「Dagik  Earth」を公開した。Dagik  Earthは、スクリーンに地球や他の惑星などを写し出すデジタル立体地球儀。球状であればどんな物体でも投影が可能だという。斉藤准教授は「今までのデジタル地球儀では特別な設備が必要だったが、Dagik Earthなら手軽に幅広く、教育や家庭の場で利用することができる」と話した。

 Dagik Earthは2007年からパソコンソフト版としてサービスを開始。通常の地球儀とは違った様々なコンテンツを持つデジタル立体地球儀を教育の場にも取り入れようと、手軽さをコンセプトに開発が進められ、これまでに博物館での展示や小中学校の理科や高校の地学の授業などに利用された。

 しかしパソコンソフト版では、追加コンテンツのダウンロードや、設定の変更、編集など利用者がある程度パソコンの知識を持っていることが前提となるという課題も残っていた。アプリ版では、操作を簡単にすることで利用する際の敷居をより低くし、さらに元々のコンセプトだった手軽さもより追求。スクリーンに投影する際、より容易にプロジェクターと接続できるようになり、さらにiPad画面上にコンテンツを表示させることも可能となった。

 約90のコンテンツが利用可能で、海水面の温度やオーロラの様子、太陽の黒点の位置など幅広い情報を視覚的に把握できる。また、降水分布図のようにリアルタイムで更新され、表示に反映されるものもある。コンテンツの数の面ではパソコンソフト版に劣るものの、今後パソコンソフト版、iPad専用アプリ版共にコンテンツを追加し、さらなる充実を図るという。

 2015年には台湾でDagik Earthを利用して講演を行った斉藤准教授。「コンテンツの更新はもちろん、多言語化にも力を入れていきたい」と意気込んだ。

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