江戸時代以前の書籍を読むには、現代では使われなくなった文字や書体で書かれた「くずし字」を解読する必要がある。ことし2月、大阪大が「くずし字学習支援アプリKuLA」をリリースした。飯倉洋一教授(日本近世文学)らのチームが開発し、スマートフォンやタブレットで気軽にくずし字を学習することができる。

機能は「まなぶ」「よむ」「つながる」の三つから構成されている。「まなぶ」機能では仮名や漢字を約3000件の画像から学習し、「よむ」機能では古典書籍が実際にどれぐらい読めるようになったか確認。「つながる」機能では分からない文字を互いに教えあうことができる。

従来くずし字を学習するには、専門の課程に入り、実際にくずし字が読める人に師事するのが有効とされていた。そのため、海外の学生や理系の研究者は独学が難しかったという。そこで、KuLAでは一人でも学べ、かつ仲間で教えあうことのできるよう意図されており、「つながる」機能を使えば海外に住む人でも直接日本の大家に聞くことができる。

はじめは古典文学の研究者や過去の自然現象の記録を研究する必要のある古地震の専門家などをターゲットにしていた。しかし、アプリの開発を担当した橋本雄太さん(阪大・特任研究員)がTwitterで構想中のKuLAについてつぶやいたところ、オンラインゲーム「刀剣乱舞」のファンから、地域の資料館に行っても古文章を読むことができないとして、リリースを望む声が多く寄せられるなど意外な反応も。これを受け、「よむ」機能では国ごとの名刀を紹介する「新刃銘尽(あらみめいづくし)後集」を加えている。

今後は、漢字の種類を充実させたり、難易度をつけたりして、内容の充実を図るという。7月には英語版のリリースも予定している。

vol309