vol.300 若者の力で京の街を守る
自治体の消防機関としてほぼすべての市町村に設置されている消防団。地域住民が自主的に参加し、消火活動や防災指導などを行う組織だ。しかし近年、消防団員の数は減少し、高齢化が進んでいる。団員の確保が叫ばれる中、京都府は2年前から消防防災サークル「京都学生FAST」を結成し、学生の力で地域を守る取り組みを行っている。
FASTとは「Fire And Safety Team」の略。発足のきっかけは、府が府内の大学・短期大学などを対象に、学生による消防防災サークル立ち上げの支援事業としてスタートさせたことだった。設立当初は4大学の参加だったが、2016年3月現在、8大学の消防防災に関するサークル、延べ200人以上が京都学生FASTに参加している。
活動は、地域の消防団員との防火パトロールや府主催のイベントへの参加、防災キャンプの運営手伝いなど多岐にわたる。フィールドワーク以外にも、救命講習やボランティアセンターの防災講習を受講するなど、メンバーは主体的にスキルアップに励む。また、参加しているサークルは活動が独立しているため、夜警や訓練など、それぞれの特色に応じた独自の活動を行っている。
「夜警をしている時に地域の方から『ご苦労様』と声をかけられた。存在が住民の方に浸透していると感じる」と、参加サークルの一つである立命館FASTの荒木龍太郎さん(法・3年)は話す。元々、出身地である大津市の消防団に所属していた荒木さん。活動を行う中で、「京都の街は自分の地元と全然違った。地域の特性を再発見し、理解することができた」
今年1月13日には、京都学生FASTに参加するサークルで会議を行い、活動報告や意見交換を行った。各サークルの独立色が強く関係が希薄だったため、この日の開催が初めてだった。「これからは各サークルが協働して、より良い仕組みを作っていけたら」と、荒木さんは笑顔を見せた。
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