【3・4月号掲載】大阪市大・府大統合へ
大阪にある二つの公立大が新たな局面を迎えている。大阪市立大と大阪府立大の統合準備を進める議案が、昨年12月に大阪府議会で可決され、ことし1月に大阪市議会でも可決。新大学設立の方向性が明確となった。仮に両大学が統合すれば、公立大としては学生・教員数において全国で最大規模の大学となる。
■公立大 最大へ
人文・社会科学や医学といった幅広い分野を学べる総合大学となり、統合後の学生数はおよそ1万6千人と見込まれる。関西の国立大では神戸大に匹敵し、公立大では最大規模となる首都大東京の9263人(平成27年5月1日現在)を大きく上回るとされる。
■規制緩和なるか
学生数の拡大が規制緩和につながる可能性がある。私立大や国立大は、研究成果の事業化の際の出資や施設整備の長期借入が認められているが、地方独立行政法人法により公立大では認められていない。昨年11月に市議会は「教育・研究を活性化させるための環境整備を行う基盤が十分でない」とし、学生数拡大を見据えて、大学の規模や研究成果など一定の条件を満たす公立大は国立大と同等の扱いを受けられるよう求める意見書を国に提出した。
■決まらぬ形態
統合の方向性は決まったが、両大は「新しい大学の枠組みはこれから検討していく」としている。しかし、新大学を市と府で共同設置する「1法人1大学」か、大学を残す「1法人2大学」どちらの形態をとるのか。また前者の場合、消滅する大学はどちらになるのかなど、統合後の形態については議論を呼んでいる。
■議論の徹底を
統合に関する説明が、学生に理解を得られているのか、疑問の声も上がっている。現行の統合計画中止を求める学生団体に所属する大阪市大の学生は 「学生・保護者・地域の人々の意見を聞こうという姿勢がみられない」と大学側の姿勢に疑問を感じている。その上で、現行の統合計画は「統合ありき」で進んでいると指摘。「市大・府大の問題とされる点をよく検討した上で、統合という結論が導き出されたならそれで良い。ただ、現行の計画は統合しなくてもできることを統合して達成しようしているため、反対だ」と話す。議会には「一度ゼロベースで議論すべき」と訴えた。
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