【3・4月号掲載】各大学対策を模索 自転車マナー改善へ
近年、学生の自転車マナー改善のために講習会を開く大学が増えている。関西の大学の取り組みとその背景について取材した。
■死亡事故教訓に
立命館大では2012年度から、毎年4月上旬に自転車安全運転講習会が行われている。レンタサイクルを含む自転車通学者は同講習会に参加しなければ自転車通学が認められない。
講習会を開く契機となったのは、11年6月立命大生(当時)の運転する自転車が信号を無視し、通行人の女性をはねて死亡させる事故が起きたことだ。大学は事故の発生を受け、翌年4月から自転車通学者の登録制度を開始。学内ルールの違反者には個別に指導できる体制を作った。他にも立命大では自転車通学者の個人賠償責任保険加入や自転車の前照灯の点灯確認、盗難防止のための鍵の付帯を義務とし、防犯登録の徹底も進める。衣笠キャンパス事務課の川口尚さんは「自転車の運転では学生が被害者でなく加害者にもなり得る。他者の安全・安心だけでなく自分を守るためにもルール・マナーの順守が求められている」と話した。
■改正道交法を受けて
昨年6月1日に改正道路交通法が施行された。危険な運転を繰り返し、3年間で2回以上摘発された自転車運転者は、公安委員会の命令を受けてから3カ月以内に講習を受講しなければならなくなった。受講を拒否した場合は5万円以下の罰金が科せられる。
関西大では同法に基づいた罰則の強化を受け、自転車マナー講座を開講している。同大では以前から、駐輪が認められていない食堂前への駐輪など違反が見受けられていて、近隣住民からもマナー改善を求める声が上がっていた。「あまり知らなかった自転車運転に関する知識を得ることができた」と講習を受けた学生には好評だった。 また、同志社大でも自転車通学者への対応を強化。ことし4月から、今出川校地へ自転車で通学するために必要な入構許可シールの発行には、自転車運転マナー講習会の受講証明書を提示することが義務付けられる。
いち早く講習会を行っている立命大でも、昨秋開かれた交通安全指導で周知を図るなど同法への対応を始めている。16年度の講習会でも説明する予定だ。
人命に直接関わる自転車の運転マナー。思わぬ悲劇を生むことのないよう、個人の意識の向上が求められる。
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