バトンと呼ばれる両端におもりがついた金属の棒を使い、音楽に乗せて演技するスポーツ「バトントワーリング」。競技人口は圧倒的に女性が多いが、男性もいる。龍谷大のバトン・チア部「SPIRITS」でバトントワーリングに励んでいる田畑貴大さん(龍谷大・3年)はチームで唯一の男子メンバーだ。機敏な動きで観る者を魅了する彼の姿に迫った。

SPIRITSはバトントワーリングをする選手とチアリーディングをする選手からなるチームで、現在20人のメンバーが所属している。学内行事への参加や試合応援のほか、大会にも出場する。
田畑さんとバトンとの出会いは、4歳の時に観たミュージカルの余興。圧倒的な演技に魅了され「自分もやってみたい」と感じる。「女の人のスポーツ」という思いがあったが、「男の人もできる」という母親の言葉もあり、家の近くの教室で練習を始める。
競技生活は順調ではなかった。小学校高学年のときに中学受験を控え、練習を続けるかどうか悩む。しかし、バトンへの思いは熱く練習を継続。高校時代には世界大会に出場するなど輝かしい成績を残した。
大学進学後も成長を続けている。今年の3月に大阪市中央体育館で行われた、第41回全日本バトントワーリング選手権大会では個人種目で関西代表として出場。バトントワーリングの大学一般部門で6位に入賞した。
田畑さんが練習時に欠かさないことがある。先生からのアドバイスや演技で気づいたこと、問題の解決策などをノートに書いていくことだ。「直したいところが明確にできた」と笑顔を浮かべる。目標は少しでも表彰台へ近づくこと。一歩でも前へ、日々の練習に全力をかける。
(聞き手=山中秀佑)
vol.298