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 図書館を訪れた人をもてなす犬型ロボットKoRoの開発などで知られる甲南大知能情報学部の田中雅博教授。これまで開発したものは多岐にわたり、「甲南大の発明家といえば田中教授と言われるようになりたい」と語る。なぜ理論の設計や論文の執筆ではなく実践にこだわるのか、田中教授に話を聞いた。

 田中教授が自らの「最大の成果」と語る発明品は危険検知装置だ。道路上の障害物や穴を検知し、音で知らせることで、目の不自由な人を補助する。

 赤外線で物体までの距離を計測する深度センサーは従来、歩行中などブレが生じる場面では物体の追従がうまくいかず、対象物の様子を自動検知することは難しかった。そこで、田中教授はセンサーの姿勢を、最も多くの点が乗る平面を地面と見立てることで、自動的に推定するアルゴリズムを実装。姿勢が変わっても危険を検知することができるようにした。

 駅のホームから落ちるなどの事故を防ぐことが期待され、高齢者向けのシニアカーに取り付けることも可能だ。現在は5~6㎝のものを見つける能力を持つが、今後は2〜3㎝のものでも検出できるようにするのが目標だ。
 
 田中教授は、危険検知装置以外にも、来場者カウンター、呼吸数検出装置や学生と協同で開発したラジオ体操採点システム、犬型ロボットKoRo、と、さまざまなものを次々に生み出している。

 なぜここまで実用化にこだわるのか。田中教授ももともと制御理論出身で、若い頃は論文を書くことすることに注力していたという。しかし、年を経るごとに「ものを作る方が面白い」と思うようになった。「どれだけ『将来何かの役に立つかもしれない』とは言っても、実際に使われることは少ない。使われないアルゴリズムに価値はない。無責任だと思った。ここまでは示せたと思いたい」。使った人に喜んでほしいというのが原動力だ。ことしの目標は、開発した機器を広めるためにベンチャービジネスを起業することだという。
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