大阪市大の学生らと港区役所、市民団体「港まちづくり協議会大阪」が昨年の11月30日に地域新聞の「港まちづくりタイムズ」を製作した。同誌では築港・天保山の魅力を紹介し、取材や写真撮影、記事作成に至るまで学生ら自身によって手がけられた。

 新聞製作が行われたのは、小長谷(こながや)一之教授(創造都市研究科)が担当する「地域実践演習I」の授業内だ。大阪市大が開講するCR副専攻(*1)のカリキュラムの1つだという。

 同誌では景色や名所などを紹介する地域資源班、地域周辺の店などを紹介する店舗・地域商業班、祭りやコンサートなどを紹介するイベント班の3班に分かれて、築港・天保山地域を紹介。各班のリーダー中村真由さん(商学・1年)、永長千晴さん(商学・1年)、前田嘉哉さん(商学・1年)を中心とした学生ら9人が参加した。地域資源班リーダーの中村さんは「限られた文字の中で記事を書くことが難しかった。地域の魅力が伝えきれているか不安もあった」と振り返る。また、店舗・地域商業班リーダーの永長さんは「話をうまく引き出す質問を考えることが難しかった」と店への取材の難しさを語った。

 同誌の舞台となった港区築港地域は、大阪市の5大観光地のひとつ。毎年200万人以上の集客率を誇る海遊館が立つ築港地域。しかし「築港地域の見どころはそこだけではない」と小長谷教授は語る。築港地域の「海・港・船」というイメージを復活させ、街づくりを進めることが目的のひとつだという。360度から海を眺めることができる「ダイヤモンドポイント」という場所や、菱垣廻船の復元船を利用した天保山まつりなど、船や海に関係する名所やイベントをアピールした。

 港まちづくりタイムズは、9000部発行され、地域住民や関係者に配布された。小長谷教授は「天保山まつりの由来や、築港・天保山地域の魅力をPRできたのでは」と話した。イベント班のリーダーを務めた前田さんは「築港の歴史について学ぶことができた」と話す。

 第2号はトリスウイスキーのキャラクター「アンクルトリス」作者の柳原良平さんや、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンと海遊館を繋ぐ渡し船などについて取材した。2月中に発行する予定だという。               (聞き手=沢田智子)

(*1)Community Regeneration(コミニュティ再生)の略。大阪を中心とした地方都市・地域社会における多様化・複合化した課題に取り組むプログラム。

vol.291