vol.290 関西大サンゴ再生実験
関西大社会安全学部水災害研究室が中心となり、サンゴの再生実験が行われている。水災害研究室は津波や高潮、洪水などの水災害に関する研究の一環としてサンゴの再生実験に携わっている。世界各地のサンゴが地球温暖化の影響で死滅する中、大きな効果が期待されている。
「サンゴはとてもデリケートな生き物。少しの水質変化や温度変化でも命取りになってしまう」。そう語るのは水災害研究室の高橋智幸教授だ。4年前から関大高槻ミューズキャンパス構内にある実験室でサンゴの飼育を開始し、実験を行っている。実験はサンゴを固定した基盤に電流を流し、生育を測るというもの。サンゴを育生する水槽には海底の水流や水質、照明などの条件を忠実に再現した。
同教授は「サンゴを安定して飼育するために水温や塩分、カルシウムを変化させ、最適な環境を維持するのに苦労した」と話す。また、昨年7月にはより実践的な環境を求めて、「NPO法人 美ら海振興会」の協力のもと、沖縄のサンゴ礁での実験を開始。研究室の実験と同様に海底のサンゴに基盤を固定、電流を流し成長を測定した。10月の時点では順調な成長が確認できたという。
実験で使用した電流には波力を利用した独自の発電装置を使用。サンゴと環境に優しい自然エネルギーを再生実験に結び付けた。「地球温暖化も時間スケールの大きな災害。解決は無理でも、サンゴの成長を促進させて、少しでも地球温暖化の影響を減らせたら」と高橋教授は期待を込めている。
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