【図】LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの総称)の図説

 電通ダイバーシティ・ラボが昨年行った調査によると、国内のおよそ13人に1人がLGBT層に該当するという。エントリーシート(ES)に記入する性別や名前、面接時の髪型や服装など、悩みを抱える当事者も多い。しかし近年、LGBTの就活生を支援する企業や団体が増えている。取り組みや課題について取材した。    

 NECは昨年、LGBTの就活支援などに取り組むNPO法人「ReBit」とともにLGBT就活生向けのイベントを開催。LGBTの社会人と就活生が対話する機会などを設けた。イベント開催のほかにも、ESや面接での配慮も進んでいる。株式会社ラッシュジャパンは昨年から、トランスジェンダーへの配慮として応募書類の性別欄を削除した。

 人種や性的趣向を問わず多様な人材が活躍できる土壌作りとして「ダイバーシティ」の推進に取り組むのは、大阪ガス株式会社。採用イベントなどで配布するパンフレットではアライ(LGBTの理解者・支援者)の意思表明を行い、採用面接マニュアルにはLGBTへの配慮事項を記載。LGBTの就活生に苦痛を与えないよう留意している。

 LGBTの学生が目指す「性別にとらわれない、自分らしい働き方や生き方」を企業側が支援する傾向は、今後さらに高まっていきそうだ。

●「存在を無視しないで」当事者に依然残る不安

 企業のLGBTに対する取り組みが進む中、依然として就活にさまざまな思いを抱いている当事者もいる。大阪大のLGBTサークル「Libra」のメンバーは「身近にLGBTの就活モデルがいないことが不安の大きな要因」と話す。

 実際にインターンに参加したメンバーは、ある社員から「結婚しないと(仕事上では)信用されないぞ」と話をされた。社会ではいわゆる「普通」の幸せが求められるのかと感じ、「まだそんな理解のないことを言う人がいるのか」と衝撃を受けたという。

 企業には「LGBTの存在自体をないものとして扱わないでほしい」と話す。また、メンバーの一人は「いろんな人が働きやすい職場を作ってほしい。そうすれば、おのずとLGBTの人も働きやすい職場になるはずだから」と語った。