甲南大図書館で犬型ロボット「KoRo」が館内の案内を行なっている。開発したのは田中雅博教授、和田昌浩准教授と研究室の学生ら。学生が主体で製作に当たり、プログラムの大部分を担った。

 鼻、首、足元に埋め込まれたセンサーでジェスチャーを感知。フロアマップや施設の利用時間をディスプレイに表示し、館内の案内をする。いくつかの言葉を認識し、「こんにちは」と話しかけると「こんにちわん」と返すなど簡単な会話をしたり、甲南大に関するクイズを出題したりもする。

 名前は甲南ロボットを略して「KoRo(コロ)」。「犬っぽい」ということから犬型ロボットになった。元々は田中教授の勉強会で移動型の実験ロボとして発足したものだったが、14年甲南プレミアプロジェクトに選ばれたことを機に開発を本格化。学内外にアピールする図書館常駐のロボットになった。

 10月のオープンキャンパスでは屋外を動き回り、高校生に人気だったという。普通に挨拶するだけでは面白くないと、メンバーの一人、吉岡一樹さん(知能情報・修士課程)のアイデアで、挨拶と共に相手の連絡先を尋ねるというユーモアのある一面を見せた。

 苦労した点について岡田航大さん(知能情報・4年)は「それぞれが作ったプログラムを全体でどうまとめあげるか」だったと話す。全員がお互いのプログラムを理解し、認識を共有する必要があった。オープンキャンパス前は深夜まで何度も調整を繰り返したという。

 来年度はKoRoをインターネットに接続し、ニュースの発信や遠隔操作ができるようにするほか、学習機能を搭載することで個人を認識し、それぞれに合った本のお薦めをできるようにするつもりだ。
 吉岡さんは「前進しろというプログラムを書いても、本当に前進するかはどうかは一つずつ確かめないと分からない。そのプロセス全てが勉強になった」とこれまでの過程を振り返った。
(聞き手=丸岡真人)

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