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【写真】「妖怪行列 一条百鬼夜行2015」で大将軍商店街を練り歩く妖怪たち(提供=妖怪藝術団体 百妖箱)

 毎年10月中旬の夜、その奇妙な光景は私たちの前に現れる。大将軍商店街(京都市上京区)をぞろぞろと歩くのは、大量の妖怪たち。10月17日に行われた仮装行列「妖怪行列 一条百鬼夜行2015」を企画したのは京都嵯峨芸術大の学生を中心に構成されているサークルだ。名を「妖怪藝術団体 百妖箱」という。

 「妖怪藝術団体 百妖箱」(以下、百妖箱)は「妖怪×アート×まちおこし」をコンセプトとし、地域と芸術を結び付けるための参加型イベントを行う。「モノノケ市」と題した妖怪をテーマとしたフリーマーケットでは、全国から出店者が来るほどの人気ぶりだ。また、各地からオファーを受けては出張しに行くこともあるという。渋谷の東急ハンズのワンフロアを貸し切り「モノノケ市」を開催したり、台湾にある妖怪テーマパーク「妖怪村」との姉妹提携を結んで交流したりと、その活動は国内外を問わない。
 結成のきっかけは、京都嵯峨芸術大で講師を務める河野隼也さんが、同大に在籍時、卒業研究で「妖怪」と「街おこし」というテーマを選んだことだった。そこから「捨てられた古道具が妖怪に姿を変え行列した」という言い伝えが残る大将軍商店街に注目。商店街でイベントを行っていくうちに活動の規模が大きくなり、河野さんは百妖箱を作るに至ったという。
 「妖怪行列 一条百鬼夜行2015」では述べ116人の妖怪たちが列を作った。参加する「妖怪」にも厳しい基準があり、漫画やアニメのキャラクターなどの既存の妖怪はNGだ。「ただの仮装大会になってはいけない」と河野さん。「妖怪度審査」と称した写真審査を行い、見事ふさわしいと見なされた「妖怪」だけが商店街の行列に連ねることができる。
 「京都には多くの妖怪伝説があって、まだ図像化されていない『野生の妖怪』も残っている。そういった面で、京都は妖怪のメッカとなりえる」と河野さんは京都という土地の特殊さを語る。「いずれは百妖箱でも、イベントついでに京都の妖怪にまつわる観光案内ができたら」。妖怪の聖地京都での彼らの「百鬼夜行」は、まだまだ続きそうだ。