関西学生野球秋季リーグ戦 第7節 京都大-近畿大の2回戦が、10月21日南港中央球場で行われた。近大は2回、6番山野が中前安打で出塁し、盗塁と犠打から一死三塁の好機を作ると、8番田代の投前スクイズで先制点を奪う。1-0のまま迎えた8回、3番手石原が二死一、三塁のピンチを招くと、京大の2番中村に適時二塁打を浴び逆転を許す。しかし9回裏、8番代打森中が三塁打を放ち出塁し、暴投で同点に追いつく。その後一死一、三塁として、3番小深田が二球目にスクイズ(記録内野安打)を決めて試合終了。近大が3-2のサヨナラ勝ちで、今期最終戦を白星で飾った。近大は7勝5敗の勝ち点3、京大は1勝10敗勝ち点0で秋季を終えた。

京大 000 000 020=2
近大 010 000 002×=3

【京大】小林、●岩本-奥山
【近大】伊波、横山、石原、○山口-山野
三塁打:森中(近大)
二塁打:中村(京大)

【試合後コメント】
〜近畿大・田中秀昌監督〜
「反省点の多いゲーム。4年生最後の試合で勝てたのは良かった。失点した石原はカーブが良いが、全然緩急を使わなかった。捕手が投手の良さを分かっているはずなのに、そこも含めて色々勉強になった。4年生は有終の美を飾って何かを後輩たちに残してほしいと思った。今日は下級生が活躍したが、チャンスで打てない。バントもできない。近大は常勝でないといけない。立て直してチームを一つにして戻ってくる」

〜近畿大・田中克主将(4・神戸国際大附)〜
「終わったんやなという感じ。8回に2点取られて沈んだが、守備でリズムをつくって森中が三塁打で出塁した時は『もらったな』と思った。最後に勝てたのは収穫。シーズン前半は畠を中心に良い試合ができたが、後半には攻撃陣が奮起できず、畠一人に試合を背負わせていた部分があった。不祥事も乗り越えてやってきたメンバー。春も秋も優勝して、最後は神宮に行くというただそれだけの気持ちでやってきた。優勝に届かなくて悔しい。下級生の頃は自分のことだけで精一杯だったが、主将になってからは自分を捨ててチームを見るようになった。守備や攻撃の時も先を考えてプレーすることができるようになった。田中監督からは当たり前のことを当たり前にすることを教わった。人間として成長することが大事。来年は松根、末武、畠、山野が中心になる。後輩たちにには自分たちができなかったリーグ優勝、そして目標の日本一になれるようにチームづくりをしていってほしい。近大野球部は伝統もある古豪。そんなチームでプレーできたのは誇り。4年生は選手が6人、学生コーチが2人で他のチームに比べると少ないが、少ない中でそれぞれの役割を持って頑張ってくれた。『ありがとう』と言いたい」

~近畿大・9回、三塁打を放ち同点のホームインの森中大輔選手(2・近大高専)〜
「(9回の打席について)今季中盤からスタメンを外れていたのでその分を取り返す意味と、4年生には良くしてもらってたのでここで負けられないという思いがあった。きた球をしっかり振ろうと打席に入った。キャプテン(田中克選手)から『淡白にならず一発でしとめてこい』と声をかけてもらい冷静になれた。いい感じに芯でとらえた音が鳴ったし、打球も速かった。走らないとと思っていたら抜けていた。がむしゃらでした。(暴投で同点のシーン)『(暴投が)ありそうやな』という気がしていて案の定きた。負けるのは嫌だったので、とりあえず1点取れてよかった。(8回逆転を許した場面)どうしようと思った。いつでもいけるように1回から素振りをしている。(自分に打席が)来ると信じて、余裕と準備をしっかりしていた。チームメイトからは『よくやった』『ありがとう』と声をかけてもらった。これから練習が厳しくなるがレギュラーをとれるようになりたい」

〜京都大・青木孝守監督〜
「序盤からあと1本が出ない。ワンアウトで三塁に出せるようにしたが、リーグ戦はオープン戦と違い上手くいかなかった。最後は少し甘い球をうまく拾われた。相手の打者が良かった。仕方ない。向こうも必死でこっちも必死。小林を最後に勝ち投手にしたいと一丸になって良いチームだった。一戦ずつ強くなっていった。田中(現・千葉ロッテマリーンズ)が抜けて、ボロボロになるかと心配されていたが、なんとか食らいついていった。守備でも攻撃でも4年生が中心のチームの中、2、3年生も今日のように打って全員で戦ってきた。選手が良くやってくれた。来年に向け4年生が下級生に良い姿を見せてくれて良かった」

〜京都大・中里真主将(4・川越)〜
「京大が勝つための一番良い形で最終回まではもっていけたと思う。攻撃では終盤にチャンスで2点やっと入ったが、取りきれなかったのが痛い。今日は最後の試合というより、今まで通りしっかり勝ちにいこうと臨んだ。小林が良い投球をしてくれて、守備も無失策。気持ちのしっかり入った、京大ができる最大限の試合だったと感じている。(今シーズンを振り返って)勝ち点2という目標を達成できなかったのは本当に悔しい。チャンスは作れるが、そこで得点できるかどうかの違いが大きかった。(1年間を振り返って)去年の良い投手陣がごろっと抜けて、勝てるかどうかも不安なところから始まった。チームはリーグの中でどんどん成長していって、試合運びが上手くなったと思う。(主将になり)365日、野球部のことしか考えていなかった。細かいことは気にしない性格で、常に明るく誠実に一人一人と向き合ってきた。僕のスピリッツがきいているのかどうかは分からないが、何かミスをしてもすぐ切り替えて次やるべきことを考られるチームだった。下の代は下の代の良い面が絶対あると思う。そこを自分たちで考えて新たな京大野球部の歴史を作ってほしい」

〜京都大・4番前川優也選手(4・東海大仰星)〜
「今日は『あと一試合したい』という気持ちで悔いの残らないスイングをしようと思った。4番としての役割を任せられていたが、リーグ戦では果たせなかった。試合を決めないといけなかったが、結果的にはつなぎになってしまった。それでもチームのみんなはしっかりやってくれた。自分としては成長できた4年間だった。来年以降4番を任せられると思う後輩は今のところいない。出てきてほしい。大山、村山の1、2年生バッテリーが中心のチームになると思う。一緒に戦ってきた4年生たちには月並みだが『ありがとう』と言いたい」

〜京都大・1番佐藤駿介選手(4・東筑)〜
「(今日の試合について)自分たちが勝てるならこういう試合展開だと思っていた。良いムードだったが最後の最後で力負けした。(4年間を振り返って)下級生の頃は正直、自分が結果を出すことに精一杯だった。4年生になって後輩の手本になっていくという気負いが少しあった。上手く口で言えるタイプではないから、プレーで引っ張っていくように取り組んできた。練習から手本になれるようにやってきたつもり。勝つことが難しいチームだったが、徐々に勝てるチームになってきていた。野球は大学生活で一番時間を費やしたもので、色々と自分を成長させてくれた。今は楽しかったなという思いしかない」