vol.274 リメイクでもう1度——古着物 生き返る
写真=ショーの最後に挨拶する松田さん(正面)
(8月5日 京都リサーチパーク(下京区) 撮影=池之上春花)
「思い入れのある着物をただ捨ててしまうのはもったいない。もう一度着られないか」。こんな発想をもとに、松田沙希さん(立命館大・3年)は「MIYA COLLECTION」(以下ミヤコレ)を、8月5日に京都リサーチパーク(下京区)で開催した。
ミヤコレは、洋服にリメイクした着物などを見せるファッションショー。ショー開催に際して、松田さんがリメイクすると決めたのは、祖母の着物だった。祖母から母へ、母から自分へ。着物は受け継がれていく中で、シミがついたり虫が食ったりして着られなくなってしまうものも多い。蘇らせる、ということが松田さんが着物にハサミを入れる理由のため、リメイクする着物は必ず1度は使用したものにこだわっている。
それまで服作りといえば洋裁しか経験のなかった松田さんは、古着屋で着物を買ってリメイクの練習をした。納得のいくまで練習を重ねたものの、実際に祖母の着物にはさみを入れる際には緊張したという。しかし、祖母の代から受け継がれてきた思い入れのある着物をもう一度よみがえらせたいという強い思いが祖母の着物を大胆にリメイクする原動力となった。
着物をリメイクした服を着て楽しんでいるうちに、若い人に京都や着物の魅力を伝えたいと思うようになった松田さん。考えた結果、和装を取り入れたファッションショーで魅力を発信することにした。そして開催されたのがミヤコレだ。今年3月に友人の奥村理奈さん(立命館大・3年)に声をかけ、2人で合計10人となる運営スタッフを構成した。29人のモデルは全てスタッフが知り合いにオファーをかけて集めた。ショーで使用した20着の衣装のうち17着は松田さんが1人でデザインし、約半分の制作工程に関わった。祖母の着物はウエディングドレスにリメイクされ、ミヤコレのとりを飾る衣装となった。「この催しが来年も再来年も続いてほしい」と笑顔を見せる松田さん。「着物を身近に感じて、着てみたいと思ってくれればうれしい」という。たんすに眠る着られなくなった着物に息を吹き込み、京都を発信し続ける。
松田さんの祖母の着物で作られたウェディングドレス(右)
(8月5日 京都リサーチパーク(下京区) 撮影=池之上春花)
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