【9月号掲載】インターン多様化 不満の声も
日本経済団体連合会の指針により、就職活動の解禁時期がことしから3月に、採用選考開始が8月からと後ろ倒しになった。インターンという名目で企業説明会を実施することや、参加すると就活で有利になるのではないかと考えられるなど、学生がインターンへの参加を重視する傾向がみられた。
学生は社会を知りたい、企業は自社を知ってもらいたいというメリットの一致により、10年ほど前から広まったインターンシップ。初めは職場見学などが中心だったが、実務体験を重視したものが増えていった。長期間では参加者が少ないことなどを理由に、ワンデーなど短期間のインターンも行われている。
「ブラックインターン」として、学生を安価な労働力として扱う悪質なインターンが存在するという。一方、株式会社アイデムの岡崎幸宏さんは「ブラックインターンという言葉は考え方の違いから生まれたのでは」と話す。例えば、金融会社は個人情報を扱うため、内部の業務ではなく営業などを任せるしかない。想像していたインターンと内容が異なると、「理想にそぐわないインターン=ブラックインターン」と学生は解釈してしまうという。近畿大学キャリアセンターの小林絵美さんは「学生が応募時にプログラムを確認することが必要」と指摘する。学生側が希望する進路や目的と、企業側のプログラムが一致していなかった場合、互いに不満が残りやすいためだ。参加すれば何かを与えてもらえると考えている学生もいるというが、あくまでインターンは場の提供。「周りがやるからではだめ。自分を成長させるための材料を見つけようとすることが大事だ」と岡崎さんは強調する。
就職活動の準備段階とも言えるインターンシップ。解禁時期や採用選考開始の後ろ倒しはことし実施されたばかり。だが、経団連の榊原定征会長が7日、「いろいろな方が問題点を指摘している。調査して(解禁時期の後ろ倒しを)継続するかどうか対応を決めたい」と発言。10月以降に大学や企業に聞き取り調査を行い、実態を把握するという。
コメントを残す