和食が自然を尊ぶ日本人の伝統的な食文化として、ユネスコの無形文化遺産に登録されてから2年が経過しようとしている。京都を中心に、大学など高等教育機関において和食に関する取り組みが目立つ。

 京都府立大は7日、「和食文化の高等教育機関開設に向けたキックオフ共同記者会見及びキックオフセミナー」を実施。2014年に設置した京都和食文化研究センターに続き、専門学部・学科を19年度までに開設する動きを発表した。すでに一般教養では和食に関する講義が開講され、募集した定員を超える人気を博しているものもある。

 「世界的な視野の中で、和食とその文化について学べることが京都府立大の特色」と話すのは同センター長の田中和博京都府立大副学長。「美や技も重要だが、もっと食の基本的な大切さを理解してほしい」という。

 和食は世界的に人気だが、和食の知識を正しく広めることのできる人材を養成する体制が日本には整っていない。立命館大学国際食文化研究センター事務局長の井澤裕司教授は「国際的な観点から日本のよいものを世界に伝えられる優秀な人材を、国が食に関わるビジネスの世界に送り込む必要がある」と指摘する。日本の食製品は世界で高い評価を受けているが、売れ行きや知名度の点では一歩出遅れている。また、和食は発酵など微生物との関係が深く、一部海外では製品を輸入してもらえないという。

 和食に関する講義を受け持つ京都府立大の日比野光敏特任教授は「京都は本物が身近にある。学生だからこそ体験してほしい」と語った。