今季も絶対的エースとしての役割が求められる石田光宏(4年)。昨秋は個人タイトルを獲得し、自身最高の成績を残したが「防御率や勝利数は欲を言えばもっと欲しい」と厳しい自己評価。「ストレートの精度や質がまだまだ」。カウントが悪いときに変化球頼みの投球になり、いまひとつ自分のストレートに自信を持てずにいた。自身の精神状態がボールにも伝わり、打たれにくいボールを投げられなかったと昨季を振り返る。

昨春以来、ストレートの精度を上げるために監督から指導を受けてきた。軸足から前足への体重移動を意識した下半身の使い方だ。「早瀬監督の指導を受け、今まで自分が思っていたものは本物ではないと気付いた」。

昨年11月3日の第45回明治神宮野球大会関西地区代表決定戦で、神宮大会への出場を決めたころ、体の使い方や感覚をつかんだという。11月16日の神宮大会では、初めて試合を通して下半身の使い方を活かした投球ができた。リーグでは納得のいくストレートを投げられなかったが、神宮での登板は今までと違う感覚があったという。初めは緊張があったが、回を重ねるごとに球速が上がり、九回を5安打1失点に抑える好投を見せた(試合は延長十回でサヨナラ負け)。

現在ストレートの最高球速は148キロ。150キロを目標とするも、最高球速よりも平均球速を重視する。「いつも速い球を投げられた方が上の世界につながる。継続的に投げられないと意味がない。打者に打たれにくいストレートが大事だと思う」。

持ち味は「粘りの投球」。走者を出しながらも要所では抑えるために、集中力を高めることができる。

2年生の春から先発として試合を任されてきた石田。当時は、「先輩の試合」という意識が強く、重圧に負け結果を出せないこともあった。昨年は、先輩が1歳上と年齢が近いということから、「自分たちの試合」のような気持ちで試合に臨むことができた。「今季、さらに気持ちは変わると思う」。6勝、防御率は0点台、そしてイニング数以上の奪三振数を目標に掲げ、エースはさらなる飛躍を誓った。