昨年10月16日の秋季リーグ第8節。同志社大と立命館大との一戦で立命の敗北により、関西大が1995年春以来39季ぶりの優勝を決めた。11月3日の第45回明治神宮野球大会関西地区代表決定戦では奈良学園大を下し、42年ぶりの神宮行きを決め快挙のシーズンとなった。

早瀬監督の就任初年度のことだ。社会人野球の名門、日本生命野球部で指揮をとった名将は、関大野球部への就任当初から選手たちの守備、走塁の技術や意識の低さを指摘。夕方以降に行っていた自主トレを全体練習に変更し新たに練習量を確保した。夏には九州遠征を実施。九州の大学の好投手、好打者との対戦は、選手たちには良い経験となった。

秋は守備面での向上が見られ、「粘り強さが出た」と監督は春からの取り組みの成果を語る。「選手の意識が高くなったことは間違いない。江原(前主将)がけん引し、周りもそれについていった」。

今季も投手陣を引っ張るのは、エースの石田だ。昨季は4勝2敗、防御率1.50をマーク。自身初となる最優秀投手のタイトルを獲得し、飛躍のシーズンとなった。早瀬監督の信頼も厚く、エースとしてチームを勝利へ導く。江口、吉川、水師ら昨季のベンチ入りメンバーも球速が上がり、順調に力をつけてきている。この先の結果次第では先発の二番手以降を任せられそうだ。

野手陣は昨季首位打者の西田を筆頭に、今季は二塁手のレギュラーとして期待がかかる永岡、捕手の久米が中心となりチームを引っ張る。特に久米は、昨春1年生ながら捕手としてスタメンに抜擢。守備面でチームの勝利に貢献した。監督は今後のチームの守備面での向上のために起用を決めたという。「元気があってはつらつとした姿は捕手として魅力的」。また、昨季活躍した藤嶋、青木、山口晃が抜けた外野のスタメンは未定。「全員にチャンスがあるので、誰が出てきてくれてもいい」と新しい戦力の台頭に期待を込める。

今季のスローガンは「熱くなれ」。新主将の石丸は「熱くなることでプレーや野球に対する取り組み方が変わり、個人やチーム全体のレベルアップにつながる」と話す。スローガンの下、チーム一丸となり、リーグ連覇そして全国制覇に挑む。熱くなったチームは昨季の挑戦者の気持ちを忘れない。