ごみ収集や公共道路整備、医療など、地域が提供するサービスは幅広い。サービスを受けるには、居住する市町村に住民票があることが前提だ。一方、役所に届け出をせず、以前住んでいた市町村に住民票を残したままの学生は多い。

 住民基本台帳法により、住所が変わった場合、住民票の移動(転入居の提出)を14日以内に行うことが義務付けられている。週末や季節ごとに実家に帰るなど「生活の拠点」が実家にある場合、届け出を行わなくても問題ないが、1年以上継続して生活の拠点が実家にない場合、役所への届け出が必要だ。

 書類を書いたり役所へ行ったりするのが面倒、必要性を感じないなど届け出をしない理由はさまざまだが、デメリットは多い。まず、選挙や免許の更新のたびに住民票のある市町村に出向かなければならなくなる。もちろん、遠方から郵送で投票できる不在者投票制度もある。しかし、郵送に日数がかかることや投票用紙の取り寄せをしなければならないなど手間も多い。免許に関しては、住民票のある市町村以外での更新はできない。また、「地元の成人式に出席したいから移さない」との声もあるが、住民票を移しても、役所に連絡するだけで、以前住んでいた市町村の成人式に出席できる。

 「届け出がなければ、居住地の行政サービスが受けられない可能性もある。強制はしないができるだけ届出をしてほしい」と京都市役所はコメント。住民票を移さないメリットは、ほとんどないのが現状。新生活を始める際、住民票について一度考えてみることも大切だ。