VOL.243 宇宙を身近に!
国内初の人工衛星キットの発売が近づいている。大阪府立大(堺市中区)工学研究科の南部陽介助教と学生らが製作し、2014年に打ち上げた超小型人工衛星「OPUSAT」。その設計を引き継いだ部品一式を購入し、人工衛星を手軽に作れるようになるという。
無線機やバッテリーの配置を工夫するなど、開発に携わったのはほとんどが工学部や理学部の学生だ。授業以外のプライベートタイムを使い作製したという。開発された衛星キットは約10センチメートル角、重さは約1キログラムと手のひらサイズ。「日本人は小さなものを作ることが得意。ロケットや人工衛星で日本より進んでいるアメリカにも、小型分野なら巻き返せるのでは」と言う。
人工衛星の3分の1が空きスペースとなっているため、購入者が宇宙空間で実験したいミッションに合わせ、自由に使用できる。「カメラを搭載して地球の写真を撮ることもできる。さらに、魚眼レンズを搭載したり、今はやりの自撮り棒のようなものを搭載することもできる」。他にも遺骨を宇宙空間に散骨する「宇宙葬」も可能だ。
「人工衛星をゼロから作るのは難しい。(キットによって)人工衛星を作るだけで満足するのではなく、宇宙空間でのミッションも目的にできるようになるのでは」と南部助教。人工衛星を初めて作りたいと思っている人に向けて製作されているので、学部生や新興国のエンジニアにぴったりだという。
保田大介さん(大阪府大・2年)は太陽光やバッテリーに蓄えたエネルギーを適切な電圧へ変換し、分配する仕組みを担当。「小さい頃から宇宙が好き。自分たちが携わったものが宇宙へ行くなんて夢見たい」と話す。
人工衛星キットの価格はおよそ300万円〜350万円。打ち上げに関しては別途費用が必要だが、研究内容が認められれば宇宙航空研究開発機構(JAXA)が負担してくれることもあるという。一般販売の予約は2015年度中に開始される予定だ。
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