「音楽と明日をつくる」。音楽配信団体SOUNDbeSOUNDが音楽の未来を創造しようという思いから提示しているスローガンだ。京都造形芸術大2年生で代表の山谷和史さんが高校3年生の時に立ち上げた。ストリートやライブハウスで活動するマイナーミュージックのアーティストたち。彼らを映像で取り上げTwitterやYoutubeなどを用いて発信している。4月からストリートの現状を知るために路上生活を始める山谷さんがSOUNDbeSOUNDで伝えたい思いとは何か。

幼少期から音楽に触れていた山谷さん。高校1年生のころ「音楽で何かしたい」と考えたが、自分は音痴と自覚していた。バンド活動ができないと落ち込んでいた中、思い付いたのが音楽メディアの配信者となることだ。団体立ち上げの準備に取り掛かかり、2年後にSOUNDbeSOUNDを設立。高校時代に出会った人たちを誘い2014年3月20日、団体として初制作のPVを投稿した。現在までに作成・投稿したPVの本数は10本に上る。「各アーティストのイメージに合ったPV作りは大変ですが、PV配信後にいい反響が返ってくるとうれしい」と山谷さんは話す。
これまで50件以上のPV撮影依頼が来ているSOUNDbeSOUND。しかし、実際に制作を引き受けているのはその10分の1だという。「PVの制作には時間がかかる。誠意があるアーティストを取り上げていくことが大事だと思うんです」。アーティストと音楽に真摯に向き合う山谷さんの姿勢がうかがえた。その裏には、山谷さんがマイナーミュージックの文化が立たされている現状を危惧している面もある。
近年、行政が主導となり野外ライブを禁止する市町村が増加している。「このままではミュージシャンの表現の場所がどんどん奪われていくと感じています」。規制によるストリートライブ文化への影響は深刻だ。山谷さんは肌身でストリートアーティストたちの気持ちを知るために大学を3月で中退して上京し、路上での生活を始める。「日本ではストリートライブやライブハウスが海外に比べ受け入れられていない。ボトムアップ的な音楽発信をすることが今後の活動です」。SOUNDbeSOUNDと山谷さんの挑戦はまだ始まったばかりだ。

vol.238 改訂後