【ボクシング】【1月号掲載】大学生ボクサー 坂本真宏
現役大学生ボクサーが誕生した。昨年12月に行われた日本スーパーウェルター級タイトルマッチ(28日・大阪市立住吉区民センター)第3試合で坂本真宏(大阪市立大・4年)がプロデビュー。白星でプロボクサー人生のスタートを切った。
「実際に(パンチを)打たれてみないとわからない。プロは未知の世界」と試合前に語った坂本。3分4R、51・5㌔契約で挑んだデビュー戦だ。相手と距離を保ちながら攻め、ほとんど打たれることなく確実に有効打を与える。2R終了後、セコンドで大きく深呼吸をするなど緊張も見られたが、ラウンドが進むにつれて安定。最後は判定にもつれたが全てのジャッジが坂本を支持する3—0の判定勝ちを収めた。
1年時から大阪市大ボクシング部に所属。アマチュア時代の戦績は24勝6敗、全日本選手権大阪代表にも選ばれた。転機が訪れたのは4年生の9月、大学院入試で不合格となったことだった。
就職か、大学院進学のため1年間浪人するか。2つの選択肢が提示された。どちらを選んでも大学でボクシングを続けることはできなくなる。「ボクシングを続けるならプロに挑戦したいと思った」。
アマチュア時代から練習のため通っていた六島ジムに正式に所属し、腕を磨いた。日中は大学に通い、午後7時ごろからジムで練習、帰宅すると論文に取り組むといった毎日。プロの階級制に合わせるため、アマチュア時代よりもさらに1㌔の減量も必要になる。「減量期間中は論文にうまく集中できなくなる」と、ボクシングと学業を両立させることの難しさをうかがわせた。
目指すのは文武両道。プロデビュー後も大学院への進学を志し、1年後の入試に向け準備を怠らない。所属する研究室にはコアタイムがなく、練習時間を確保しながら研究を進めることが可能だ。「どちらかに偏るのではなく、ボクシングと勉強の両方に100%の力を注ぐ」。デビュー戦を終えた坂本の次の目標は、今年行われる新人戦で勝利しランク入りすること。二足のわらじを履く異色のボクサーの新たな挑戦へのゴングが鳴った。
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